未来カーに竹?

未来カー(電気で走る車、全自動運転車 など)の開発が加速しています。"ぶつからない車"はもうポピュラーになってしまいましたね。これから、車を運転する人の平均年齢がもっと高くなりますから、環境と車の安全を両立する意味で自然な流れなんでしょうね。エンジンとモーターを併用するハイブリッド車の強みは何と言っても、燃費がいいことですね。特定エネルギー消費機器である乗用自動車及び貨物自動車には、省エネ法に基づき燃費基準(トップランナー基準)が設定されています。トップランナー基準というのは、現在商品化されている自動車のうち最も燃費性能が優れている自動車をベースに、技術開発の将来の見通し等を踏まえて策定した基準です。しかし、逆に電気で走る車の最大の泣き所は"航続距離"と"二次電池"。ハイブリッド車だと"航続距離"は問題ないんだけど、大きな"二次電池"の問題があります。この二次電池のエネルギー密度(1kgあたりどの位のエネルギーを蓄えられるのか)と、パワー出力密度(1kgあたりどの位の出力を出せるのか)を高めて、搭載パックの重量を軽くしようという研究開発が進んでいます。
http://www.nedo.go.jp/content/100535728.pdf


車両重量と燃費の関係が日本アルミニウム協会のホームページに掲載されています。これによると、"燃費の向上=重量軽減"ということが良くわかります。
http://www.aluminum.or.jp/jidosya/japanese/OLD/japanese/


"ぶつからない車"になれば、車のボディーが全て金属でできている必要性はなくなりますよね。プラスチックにかえることができれば、いろんなデザインも可能だし、カラーバリエーションだって豊富になるでしょう。地球環境の事も考えたら、植物繊維強化プラスチックはCO2の排出をかなり抑えてくれるので、燃費向上とともにCO2排出抑制が絶対条件の未来カーには、ぴったりかも。竹プラスチックコンポジット(BPC)は、そんな未来カーのための素材として、開発されているんですよ。
http://www.ipros.jp/news/article/detail/5764/






家電/IT機器にも竹?

家電やIT機器は、プラスチック製品が多いですよね。それは、凝ったデザインや複雑な形状、そして、とても小さい部品なんかがあるからです。でも、家電やIT機器には、プラスチックが本来持っていない性質が必要なんです。それは、難燃性や帯電防止性です。電気をつかう製品だから、ショートしたりして火災の原因にならないよう、燃えない性質は不可欠なんです。また、IT機器は微小な電気電子回路をたくさん内蔵しているので、プラスチックが静電気を帯びてしまったら大変です。


そこで、竹/プラスチックコンポジットの出番です。水蒸気処理した竹繊維/粉末は、静電気を放電させてしまう性質を持っているんです。それで、帯電することがあり有りませんし、埃が付きにくいという性質も持っています。さらに、通常のプラスチックの難燃化に使われている難燃剤がそのまま使うことができます。強度向上とCO2削減のために大量に竹繊維/粉末を入れても、基本的に難燃剤の効果を邪魔することがないことが分かっています。難燃剤の種類と量を調整すれば、竹/プラスチックコンポジットで、UL94規格のV2~V0が容易に実現することができます。





プラスチックの中に、いろんな固体粉末(フィラーといいます)を添加して、材料としての強度や剛性を高めてやる方法があります。このように、プラスチックの中に、プラスチックとは違う固体成分を混ぜて作製したものをコンポジットと言います。このフィラーとして、いろんなバイオマス成分、たとえば、植物繊維や木粉、もみ殻などを利用した時、作製されたコンポジットをバイオマス・プラスチック コンポジットと言います。植物繊維がとても強度が大きい時、得られたコンポジットは繊維強化プラスチックとも言われます。つまり、 高性能バイオマス・プラスチックコンポジットですね。フィラーが特別な機能を持っていて、それがプラスチックに混ぜ合わせたとき、プラスチックにその新しい機能を付与することもできます。たとえば、帯電防止性、ガス選択透過性、電磁波シールド性、寸法安定性などなど。つまり、高機能バイオマス・プラスチックコンポジットですね。


プラスチックと混ぜ合わせる強化繊維は、その量を変えると、作られたコンポジットの性質が変わります。性質が変わるから、それを使う用途も違ってくるわけです。多くのプラスチック製品は、プラスチックだけということはありません。さまざまな種類の添加物が入れてあります。強化繊維の他に、フィラー(充填剤)や酸化防止剤、紫外線吸収剤、成形加工助剤、着色剤などです。強化用の植物繊維のサイズはプラスチック分子よりも断然長いし、強度も大きいので、少し入れたただけで、強度が大きくなります。さらに、多く入れて構造材料に使うこともできます。プラスチックよりも植物繊維の方が多くなると、もうプラスチックではなくて合成木材の範疇に入ってしまうのです。良くホームセンターなどで目にするWPC(ウッドプラスチックコンポジットWood Plastic Compositeの略)というのがそれです。木材の粉末にプラスチックを混ぜることで、耐腐食性や吸水性、摩耗性、成形性などが改善されます。植物繊維や粉末は、もともと植物の細胞成分なので、細胞構造の痕跡をたくさん残しています。だから、多孔質の場合があります。本来、セルロースの結晶は、比重が1.5~1.6ぐらいあるそうなんですが、多孔質なので、溶けたプラスチックが入っていきにくく、見かけ比重は、竹の繊維/粉末で1.3ぐらいが限界です。だから、比重がもともと小さいプラスチックと混ぜても、そんなに重たくはなりません。ただし、使用目的が水に浮かないことが必要な場合、たとえば、側溝の蓋のような場合、比重が1.0よりも大きくなければなりませんから、鉱物の粉などを混ぜることもあります。